えびちゃん

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のえびちゃんのレビュー・感想・評価

3.8
わたしの好きな、数少ない存命中の映画監督ウェス・アンダーソンの新作。待ってました!
フランスにある雑誌社フレンチ・ディスパッチの編集長が亡くなり、遺言により廃刊となる追悼号をオムニバス風に映像化。あいかわらず超ハイテンポで詰め込み放題の情報量にたびたび迷子になってしまった…。これはもう一度映画館で、というよりDVDで止めたり戻したりしながらじっくり隅々観たい。
#1は文化・アート。#2は学生運動のルポ。#3はグルメ(?)
肉付けがクセだらけだが、ストーリーとしては1が突出して面白かった。各エピソードのよかったポイントを備忘録的に。#1は刑務所で受刑者アーティストと刑務官ミューズの掛け合いが気持ちいい。レアセドゥに冷たい目で見られたい。#2は輪切りセットで舞台風の見せ方がよかった。#3はアニメも交えて。これは雑誌巻末によくあるマンガをイメージしたのかカーチェイス撮る時間と金がなかったのか…。全てのエピソードは大きく遠回りしたりしながらも粒がでかくてひとつずつぐっとくるものがちゃんとある。
そして最後にさらさら〜とタイトルの意味と冒頭の「始まりは休日だった」を回収していった。しっかり着地してうるっときたところでおしまい。だらだら間延びしないところ媚びてなくて好きよ。
1番よかったのはエンドロール笑 おそらく創刊からの表紙デザインのスライドで、和田誠さんが描いた週刊文春のようでかなり良い味わい…表紙集グッズ化してほしい。
とっちらかって「きちんと意図が伝わるように書け」が全くできていませんが、わたしはライターでもなんでもないので許してほしい。頭のてっぺんからしっぽの先までまるまるウェス・アンダーソンが詰まってた。ウェスお得意の大団円泣き笑いを久しぶりに体感できてとても幸せな時間だった。
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