柏エシディシ

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ 完全版の柏エシディシのレビュー・感想・評価

3.0
「モリコーネ映画が恋した音楽家」を鑑賞して観たくなり。
あのドキュメンタリーでもフィーチャーされていたパンフルートの哀愁のメロディ。
ジェニファー・コネリーの美少女ぶりが眩しいシーンで印象的に流れる「アマポーラ」。
確かに楽曲がもう1人の主人公の様な作品。ある意味台詞より重要な役割を担っている。
「アマポーラ」モリコーネ作曲と思っていたらスタンダードだそうで。そいやビートルズyesterdayのメロディも使われている。
既成曲の使い方に否定的なイメージなモリコーネだけど、そこは上手く使いこなしていたのだ。
セルジオ・レオーネの遺作。時代背景からしてもゴッドファーザーと対となる作品だが、あちらがイタリア系の家族劇ならば、こちらはユダヤ系の友情物語の様相。
少年時代、青年時代、老年時代の時系列が絡みあった複雑な構成が見事。
(初回公開版は時系列順の構成で140分ほどの作品で酷評された、とのこと。そりゃそうだ!タランティーノが本作をお気に入りに上げているのは納得のいくところ。初期作品の構成はまさに本作の影響か)
物語は悔恨に囚われた男が阿片のまどろみの中で見た一時の夢なのかもしれない。
この話に「アメリカの昔話」と名づける妙味。
レオーネらしいギョッとする様な暴力もありつつ、やはり偉大なる巨匠の遺作に相応しい貫禄もある。
今観ると、女性の扱い方が酷過ぎて引くレベルだが、ジェームズ・ウッズの愛人役がチューズティ・ウェルドだと今回初めて気づき、そして彼女らしい危うげな美女を好演していてそれはそれで嬉しくなった。
観たつもりになっている映画もちゃんと観直さなきゃいけないな、と改めて。
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