牧野

パラサイト 半地下の家族の牧野のネタバレレビュー・内容・結末

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

とても面白かった。私は何故かこの映画をホラーサスペンスだと思い込んでいて、富豪家族が殺されこの家を乗っ取られるのはいつだろうとハラハラしていたらまったく違う映画だった。社会派だなぁ、メッセージ性がある。

主人公家族は半地下に住んでおり貧乏な生活を送っている。主人公の友人から紹介された富豪の娘の家庭教師のバイトをきっかけに妹・父親・母親も富豪の家で働くようになり...富豪宅への寄生(まぁでも真面目には働いてる)が順調かのように思われたが元家政婦の来訪から事態は一変する。富豪宅の地下には元家政婦の夫が住んでいたのだ。
ここから映画は富裕層・半地下の住人・地下の住人という三つの層の話になってくる。半地下家族4人富豪宅で酒を飲んでいたところ大嵐で富豪家族が帰宅、主人公家族は半地下の自宅へ戻るが、その道中水が下へ下へと流れていく様子からの汚水氾濫自宅浸水、何不自由ない富豪宅とのその落差にやるせなさで胸いっぱいになる。妹がトイレの蓋の上に座り吹き出す水を押さえているシーンは印象的だ。
避難所での息子の問いに父親が「失敗しない計画は無計画だ。」とパラサイト計画を立てていたことを暗に否定したことで、半地下家族は頼りない無計画な父親と半地下から脱出したい主人公・妹・母にわかれているんだとわかった。ラストシーン、地下の住人に主人公は後遺症の残る怪我を負わされ、妹は殺される。母は正当防衛で地下の住人を殺し、無計画な父は富豪を殺し半地下の住人から地下の住人に成り下がる。

半地下という現状からの脱却は計画を立てるという意識を持たねば下へ下へと転落してしまう。最下層までいくと這い上がることすらしなくなる。しかし計画を立てても富裕層と半地下には超えられない壁があり...格差社会の難しさを描いている。

主人公が父の寄生する富豪宅を買う夢を見てこの映画は終わるのだが、実現がほぼ不可能な夢というのが切ない。家族の中で一番才能があった妹が死んだことも希望がなくなったことを示唆しているようで何とも悲しい。
牧野

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