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The Wind(原題)
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『The Wind(原題)』に投稿された感想・評価

[そこでは風すら未知のもの] 50点

血塗れの女性が死んだ赤ちゃんを抱きながら外に出てくる。そこには不安げに待つ二人の男が立っていて、一人が赤ちゃんを受け取って泣き叫ぶ。西部劇と超常現象を合体させた本作品は、誰も居ない荒野で暮らす開拓民の孤独と恐怖を具現化させたような恐怖譚を構成している。思い出すのは内戦下の日常と超常現象を合体させた『アンダー・ザ・シャドウ』だが、ロジカルだった同作に比べ設定がフワッとしているし、途中から『妖婆の呪い』のような白塗りおばけが出てくるのも興味深い。最初に見かけたショットは完全に『Meek's Cutoff』なのだが。そして、題名から分かる通り、ヴィクトル・シェストレム『風』の現代翻案なんだろうことは想像に難くない。ただ、本作品は"風"の映画ではないという点において大きく失点を重ねているように思える。

本作品の時間軸はリニアなのかノンリニアなのかすら明示されないが、事実であろうことを並べるならこうなる。主人公リジーには息子サミュエルがいたが死産だった。暮らしている土地では死人が多い。"平原の悪魔リスト"なる冊子を持っている。サミュエルを妊娠していた時に夫アイザックからショットガンを自衛用に貰う。隣家にエマとギデオンのハーパー夫妻が引っ越してくる。すぐに妊娠したエマが発狂する。そしてエマが死亡する。確定した事実はこれらだけであり、残りはリジーの視点に立って彼女が"信頼できない語り部"であることを細やかに証明していくパラノイア映画に変貌していく。外側に悪役がいない、非常に内的な映画だ。

狩りや食料調達のために頻繁に家を空ける男たちを尻目に、一人で家を守る役目を仰せつかった女性たちにのしかかる不安と恐怖は計り知れないものであり、隙間風や予想だにしないシルエットに驚くのは無理もない。銃を持ったからといってそんな不安が拭われるはずもなく、話し相手すら居ないリジーの中で物語が醸造されていくのは避けられない。サミュエルを守るために、そしてサミュエルを失った悲しみから自分を守るために、未知の事象は全て敵対するものとして物語が書き換えられていくのだ。

そして、同じことが我々に課せられている。信頼できない語り部の語りから真実のみを抜き取って、何が起ったのかという物語を作らねばならない。しかし、最後の最後までリジーに寄り添った映画は、フラッシュバック的に挿入された多少のヒント以外残さずに終わってしまう。悪魔はいたのか、それとも全てがリジーの中で完結していたのか。残されたのは幾つかの死体と、誰も乗り越えられなかった冬だけだった。
細切れになった愛と哀しみの記憶。裏切りへの報復。救われない心。

こんな苦しい話を観せられて、いったい何を言えばいいのか。