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オペラ座 血の喝采 完全版のameriaのレビュー・感想・評価

オペラ座 血の喝采 完全版(1988年製作の映画)
4.9
U-NEXTで今月いっぱいだったので慌てて観ました。この作品ははじめて知ったかも。隠れちゃってる傑作なようで。元気がチーンな時に、くだらなくて元気がもらえてめちゃめちゃ感謝しかない大好きなオペラvsヘヴィメタミュージカルの『絶叫のオペラ座へようこそ』と同じ感じだなと思ったのでこりゃ観るっきゃない!と胸を高鳴らせて観ました!ストーリーは破綻してるけどいい!オペラあんな感じじゃ絶対歌えてないでしょとかも気にしなくていい!だって、映像も『サスペリア』よりも私はこっちが好き!いい!面白かったもん!

ただこの完全版だとイタリア語に吹替えされてるのが気になってしょうがない😂



カラスにも演技させられるとは…ダリオ・アルジェント恐るべし…!二羽のカラスが目ん玉をポロンポロンして遊んだり、口に入れたり出したり飲み込もうとしたけど出してみたり、よく撮れたなあんな瞬間てほどカラスがとてもいい仕事をなさっています。

呪われているといわれる『マクベス』主演女優が事故に遭い、白羽の矢が立ち主演に抜擢されたヒロインの周りで次々と人が殺されるのですが、なんとその殺人をちゃんと見ててやー!目に焼き付けてやー!と言わんばかりに見せてくる。ヒロインの目に「閉じると刺さるからね」と貼る針テープ。丁寧にちゃんとクルクル巻いてきたそのお手製針テープをポケットからこれみよがしに出す感じがもう!いい!そゆとこたまんない!笑。そしてそれを大事そうにクルクル広げて下瞼に貼りつけて完成。これが地味〜にイヤ。見た目的にも近くによらないとインスタでいう映えない感じなんですが、確実に精神にくるやつ。でもそこがいい。この発想がいい。でもそれセロテープっぽいけど…ヒロインの汗で剥がれないかい?大丈夫かい?とちょいちょい変な心配しちゃいたくなるんですけど、そこもいい!笑。犯人の怪我など本家のオペラ座の怪人へのオマージュもあったり、まさかのどんでん返しもあったり、アタオカだったり。

スローモーションの弾丸は痺れた〜!衣装の飾りの糸を切るズームアップなど意外なところをしつこいくらいのズームとても好きでした。『サスペリア』で赤とかそういった照明のイメージが強いけどこの作品ではカメラワークや他の見せ方にこだわってる印象を受けました。オペラ座の観客の頭上スレスレを飛び回るカラス視点の映画なんてあっただろうか。まるで体験型アトラクション乗ってる気分で楽しかったです!

そしてまたさらに良いのが、POVの殺人シーンで突然流れるロック!ハードロック!もはやヘヴィメタでしょうか?これがなぜかマッチしてて流れてないと落つかなるほどカッコいい!しかもその楽曲提供が元ロキシー・ミュージックにいたブライアン・イーノで胸熱。ロキシー・ミュージックは『ベルベット・ゴールドマイン』で、監督がデヴィッド・ボウイに楽曲提供をお願いしたものの断られ、変わりに使われることになったグラム・ロックバンド。ベルベット〜で知り好きになりました。ただロキシーのボーカルのブライアン・フェリーが調子にのっちゃったのと自分より人気のあるイーノに嫉妬して、「二人もブライアンはいらない!」と言ってやめさせてしまうわけですが…

話がだいぶ脱線してしまいましたが、アルジェント作品は『サスペリア』と冒頭でイタリア語が耳に痛くて即諦めてしまった『4匹の蝿』くらいしか観たことがなく、この監督の作品はあまり合わないのかも…なんて思ってましたが、このオペラ座がとてもよかったんで、他のも観てみよう!と思えました!サスペリアより断然こっちのほうが好き!









⚠️ちょいとネタバレ
しかし大好きだった母親の倒錯にもほどがあるあんな性癖を亡き後に知るなんて…つれぇ。母親性癖も性癖だけど手は出してないとはいえ自分の欲望を満たすためのアレですから、かなりの人殺しでもありますやんか…
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