ミシンそば

愛欲の港のミシンそばのレビュー・感想・評価

愛欲の港(1948年製作の映画)
3.8
合ってないようで最終的に合っているような気もしないでもない、そんな感想に落ち着く、イングマール・ベルイマン最初期の監督作。
現代の意味はそのものズバリ、港町であるらしい(捻りがなァい!)。

「不良少女モニカ」は未見だが、恐らくそっちより「不良少女」してるヒロイン ベーリットと、随分長いこと船員をしてたせいで色々疲れているイェスタを主人公にしたのっぴきならないラブストーリー。
親からの過干渉や、施設に収容された過去を持つベーリットの過去と向き合うことを強いられて苦しむ双方の様を描く。
初期ベルイマンが、呪力の核心を掴む前(推定)の40年代の作品だが、性に奔放であることを隠さないスタイルは、古い価値観を押し付ける年寄りがあまりに多い当時としてはショッキングだったんじゃないだろうか(乳首も出てたし)。
そしてヒロインの尻を舐め回すように映す変態的な映し方はいかにもベルイマン(作中でも言及される程度には、50年代にさっさと俳優を辞めたニーネ=クリスティーネ・イエンソンはいい尻をしていた)。

堕胎についても40年代時点で触れてるのもそうだし、家から締め出される、闇の中で絶望する描写にもこだわっている、非常に攻めた作りだ。
そして、事態はそんなに好転していないのに希望に満ちた終わり方をする。
北欧ってだけで結び付けただけかもしれないが、アキ・カウリスマキっぽさもラストにかけては感じたから、精神的な源流の一つなのかも…?(違うか?)