おだ

劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さんのおだのレビュー・感想・評価

3.8
人と真っ向から話すことは、どうして難しいのだろう。見知らぬ人に話しかける時の、あの恐怖感。近づきあぐねていると、やらない理由ばかりを考え、結局「まあ話しかけなくてもいっか」と自分を納得させてしまう。


また、心が地獄に陥るとき、助けてくれるのは何だろう。人間関係がうまく噛み合わないとき、背中を押してくれるのは何だろう。


いろんなことが可能になり、人が対面せずとも話すことができるようになった社会では、人が作り出した想像世界が、隔てられた現実世界の壁を取り払ってくれることがある。
それまでは考えられなかったことができるようになり、コミュニケーションをはじめとしたあらゆる物事の在り方は実に多様になった。


これは、奥手な息子が不器用な父親をゲームの世界に連れ込み、赤の他人を演じながら匿名チャットで心を通わせ、絆を取り戻していく物語だ。
無口で本心の読めない父親の心内を探るべく、息子の岩本アキオは「ファイナルファンタジーⅩⅣ」をプレゼントし、ゲームの世界でコミュニケーションを取ろうと図る。そんな意図はつゆ知らず、父はゲームの世界に没頭していく中で、家族には言えない本心を吐露していく。



人が作り出してきたものの先に、思わぬ救いがあることは珍しくない。ゲームがただのエンターテイメントだけでなく、新しい自分を発見する場所にだって、唯一の本音を言える場所にだってなる。




ゲーム独特のユーモアが散りばめられていて、共感できるところ多数。
ご都合主義だが、ゲームを始めたばかりのあのワクワクを思い出させてくれる映画だった。

自分も思い出したな、マリオを買ってもらった当日に母親とやったの。
おだ

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