tamago

淪落の人/みじめな人のtamagoのレビュー・感想・評価

淪落の人/みじめな人(2018年製作の映画)
4.5
事故で半身不随となった中年男のチョンウィンは、離婚し息子とも離れて、妹ともギクシャクした仲で、生きる希望を見出せない中で、フィリピン人の若い住み込み家政婦のエヴリンがやってくる。
広東語が話せないエヴリンと意思疎通もままならず最初は苛立つチョンウィンだったが、仕方なく英語を勉強し始める中で献身的な看護を続けるエヴリンと次第に心を通わせ始め、彼女が夢を諦めかけていることを知り、なんとか力になろうとするが…

大好きな『インファナル・アフェア』のアンソニー・ウォンさん主演でお話も興味があったので、配信で観ることができて本当に良かったです。

生きる意味を見失った男と生きることに必死な女の邂逅が香港の四季の移ろいとともに描かれていて、グローバル化した世界の片隅でもがいて生きる人たちを温かく、時には冷徹に見つめていて、心を揺さぶられる場面がたくさんありました。

写真が重要な役割を果たしているのですが、それを様々な伏線にした脚本と、写真的な構図も見応えがありました。

夢を追いかけることは、大変だけど素敵なことで、夢を追いかける人を手助けすることにも人が生きていく意味があるよなぁと改めて思いました。
とにかく、生きていくことには、なんらかの意味があるし、生きてることに感謝したくなる、そんな作品。
英題の『STILL HUMAN』は、テーマを如実に物語っていて、秀逸。

観ると元気がもらえる、人への優しさに満ちた作品です。
tamago

tamago