めちゃくちゃ面白かった。
これは自分も見てたのでチ。が話題なってて『そんな手があったか!』と超悔しい…
地球平面説を訴える人たちの話。
ドキュメンタリー。
今だに世界に(舞台はアメリカか)こんなに平面説を訴える人間がいることに驚き。んでなんなら増え続けてるって…
そんなバナナ。
バカげた内容のおふざけドキュメンタリーかと思って見ると、これが成る程落ち落ち笑ってられないテーマを含んでる。
そもそもなんで地球が平面だと信じる人が増えているのか?
中には家族や友人から冷たくされ距離を取られても活動を続ける信者も多い。
何故そこまで信じるのか?
自信満々に話す彼らの目は爛々。
合間に挿入される理知的な科学者の意見が耳に痛い。が、彼らは気にも留めない。
トゥルーマンショーの話が出てきて、確かにあそこで展開された陰謀論をそのまま現実に持ち越したようなお話だ…と思ってたら、ラストでなんとその伏線も回収。
「『トゥルーマンショー』の主人公が外の世界に出れたのは、彼がなにも持たない若者だからだ。もし反対の立場の人間だったら?例えばあの街の市長だったら、リムジンも愛人もいる贅沢な生活だ。去るか?いいや。しないよ。」
「今あなたもこのコミュニティ(地球平面説国際会議)の市長では?」
…
このシーン最高。どうやってこの言葉を引き出したのかは謎だけど。
まさにこの映画のテーマはラスト10分弱に集約されてるのでラストは映画的盛り上がりを魅せてくれる。
○いいところ
・ポップ
インタビュー受けてる第一人者の人が人間的にはとても気さくで健全な人なので、(変人ではあるが)観ていて苦痛には感じない。むしろ楽しい。
楽しんでること自体は…喜ばしいね笑
地球平面説自体があまりにアレなため
過激思想に走ったりそうした動きもなく、みんな生活する上でのプラスな活力としてこの説を信じてる。
そこが新鮮で、面白かった。
めっちゃグッズ化してましたね笑
・この一本である種の宗教に関する構造みたいなものがなんとなく理解できるようになってる。
宗教意外にも、この映画で示唆してるのは多分今の政権などにみられる反知性主義についての構造か。
・→何故一度信じた人間が
離れられないか?
その謎を端的に説明してる。
『新年が揺らいだら、人間関係はどうなる?一般の人たちがまた歓迎してくれる?恐らく冷たくあしらわれるだろう。コミュニティの友人はもちろん失う。
両方の社会で孤立する。』
これはほんと、これが全て。
宗教についても言えることで。
社会的にマイノリティであるグループ程これをチャンスに変えて活用できる。
深みにハマれば抜け出せない。
ある程度の強制力を持ったグループが増殖ばかり繰り返し、なぜか母体が減少しなかったりする強みはここにある。
・ハマる人の傾向を浮き彫りにしてる。
NASAに突撃取材して、NASAセンターのシュミレーターで遊ぶ2人が動かない、故障してると言って笑うんだけど、思っ切り手元に操作ボタンがある。あえて無視したのか?念頭に『故障』があって見えなくなったのか?
とにかく、そのシーンが端的に表すように『観たくないものをみない。』
だから信じたいものを中心に、対立する主張の問題点、粗探しを始める。
・自分が現実に対して間違っていたと、認められない。だったら現実を変えればいい
・科学者の1人が言ってた言葉で彼らのような者にどう接するべきか一つとても優しい案があって納得した。
真っ向から対立するのではなく、反対方面から世界を科学で証明する立場として共に研究しよう
というスタンス。このスタンスが
あらゆる分かり合えない二項対立の両者を一つにする解決策だと思う。
・本作はいわゆる反知性の極地、『地球平面説』をドキュメンタリーすることで、世界特にアメリカ本国に蔓延する反知性主義の芽と、それが生まれる構造を解説した快作になってると思う。
・高橋ヨシキさんのコレについての批評がとても面白かった。
『自分が信じてることと異なる証拠が出てくると、その証拠を覆すための証拠を集めていく。そうすると証拠がより複雑化してきて、その後で入ってきた人からするとこんなに証拠があるのか!となる。その引力でよりスケールが大きくなってしまう』
とりあえず、モンティパイソンの
『ライフオブブライアン』観てみよっと