蜘蛛マン

赤い闇 スターリンの冷たい大地での蜘蛛マンのレビュー・感想・評価

3.8
話がやや分かりづらいのと主人公以外のキャラというか役割がいまいち薄いのが難といえば難ですが、負の歴史が持つ負のエネルギーで記憶に刻まれる映画でしたね。

ソビエト時代の集団農場の失敗を描いてますが、失敗がもたらしたのは数百万人レベルの餓死者ですからね。数百万ですよ数百万。東京の人口の半分が餓死。しかも搾取されるのはいつだって周縁で、当時ソビエト連邦に組み込まれていたウクライナ。飢餓の歌を子どもが歌い、樹皮、あるいは家族の死体の肉を食べる。絶望的で悪夢的で地獄なんですが、紛れもない現実というところが本当に絶望ですね。同じような悲劇を人類ずっと繰り返し続けてきて今こうしている間も人道危機は世界の至るところで起こっているわけですから、もう人間辞めたくなりますよね。

原題見るとMrJonesになってて主人公にフォーカスしたこっちのが明らかにしっくりきますね、邦題つけるのはいいですが、副題つけると常にダサいと思います、誰が喜ぶんですかね副題。
あとジョージ・オーウェルが登場するのは良かったですね。もう少し物語に絡ませても良かった気もしますけどね。
蜘蛛マン

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