茶一郎

システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたいの茶一郎のレビュー・感想・評価

3.8
 ポップで激しい『大人は判ってくれない』系譜の最新版。幼少期のトラウマが原因で、色々な養護施設で暴れトラブルを起こしては強制退院、あらゆる施設をたらい回しにさせられている(「システムクラッシャー」と呼ぶらしい)少女を描く。
 少女側だけに視点が寄らず、彼女を治療しようとする大人側の葛藤も描く良いバランスを保っている。特に大人がガラス越しに少女を見つめる視線、もしくは少女が大人=システムを見つめ返す視線が印象的で、少女が「ガラス」に象徴される「システム」を壊していく過程に途中から魅力すら感じてしまう。ピンク色のペンキで描かれた少女版『時計じかけのオレンジ』か!?
 監督のノラ・フィングシャイトは最新作『The Outrun』も上々の評判で、今後活躍しそうな監督。是枝監督同様、ドキュメンタリー畑出身で子供を主人公にした作品で出世したという共通点アリ。【記録】

 ◆Podcast「映画世代断絶」で話しました。
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