きしだごはん

システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたいのきしだごはんのレビュー・感想・評価

4.5
ベニー役の少女の演技が自然で驚いた。印象的、と表現したいものの、映画の世界に溶け込みすぎて良い意味で印象にも残らないような立ち振る舞いだった。
彼女の世界を隣から見つめているような、自分自身が登場人物の1人であるかのような感覚に陥った。百数分だったが私の目の前にベニーが存在していた。そんなリアリティと迫力があった。

9歳の小さな身体に張り裂けるほど詰め込まれた孤独や怒り、不安が伝わり終始胸が締め付けられ、終わった頃には寒気すら感じた。
幼い彼女は複雑な感情を理解したり、言葉にして伝えられるほど発達しておらず、癇癪を起こすことでしか周囲に助けを求められない姿が非常に痛ましかった。

ラストシーンには非常に驚いたが、腑に落ちた気持ちもあった。彼女が彼女であるには、ああするしかなかったのかもしれない。

2回目は見れないかもしれない。しかし、この先絶対に忘れたくない作品になった。
きしだごはん

きしだごはん