ひよこまめ

燃えよ剣のひよこまめのレビュー・感想・評価

燃えよ剣(2021年製作の映画)
4.5
過去のメモから転記

新選組の映画、というより、土方歳三の映画、と言えると思います。

新選組を良く知らない若い人が観たら、このカタルシスは理解できないかもなー、とか思ってたら、一緒に行った息子が感動でうるうるしている私に「なんであそこまで戦ったのか、誰と戦っていたのか、いまいちわからなかった( ゚д゚)ポカーン」と。

ハハハ・・・ まあ、それもわかるよ。

というのも、今回の新選組は本人たちは一生懸命なんだけど、実際に国を動かしている層にとっては「ただの駒」でしかない、という大前提で描かれていて、過度な英雄視はされてないので。

改めてこうやって見てみると、池田屋襲撃が唯一の手柄らしい手柄だし、たった6年しか続かなかったのにその間に粛清や分裂や、人の出入り、一人一人の思いのゆらぎ、なんかが常にあって、とても一枚岩にまとまった集団だったとは言えないんですね。
多分それが一番真実に近い新選組の姿なんだろうな・・・と切なく思いながら観ました。

新選組ファンとして一番衝撃だったのは、近藤勇に「もう疲れた、解放してくれ」と言わせていること。
そこはさすがに、「土方の孤高」をより際立たせるためのセリフだと思いたい、けど、もしかしたらホントにそれが近藤の本音だったかもしれない、とも思えて、辛いセリフでした。

新選組には高校生の時にドはまりして、修学旅行が京都・奈良だったので、京都では「新選組聖地巡り」みたいなコースで回ったりしました。
当時は、女子高生のよくある憧れ的な見方しかしてなくて、大人になるにつれて「そんな安直に肯定していい人たちなのか?」という思いも出てきたけれど。

でもこの映画では、土方歳三の一本筋の通った生き方がきちんと描かれていて、それはやっぱり鳥肌が立つほどカッコイイと思いました。

岡田准一が、洋髪洋装になってからは土方にとても良く似ていて。
函館の戦いで、馬を駆って走り去っていく後ろ姿には、思わず涙腺が緩んでしまいました。

伊藤英明の芹沢鴨がカッコよすぎ
いや、嫌なやつなんですよ、ただそのビジュアルが。
本物の芹沢さんは草葉の陰で喜んでるかも?なんて思っちゃったり

尾上右近の松平容保が哀れ。自分の思いを貫いた土方とは対極を生きた可哀想なお殿様でした。

一番目を引いたのは、ウーマンラッシュアワーの村本大輔演じる山崎烝。商人に化けていろいろ探る密偵なんだけど、すごいインパクトがありました。
お笑いの人って演技力高いよね~。パンフレットにあったインタビューによると、ほとんど即興芝居だったらしいので驚きでした。
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