あーさん

ラヴィ・ド・ボエームのあーさんのレビュー・感想・評価

ラヴィ・ド・ボエーム(1992年製作の映画)
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さすがに自粛生活もだんだん疲れてきて、その上体調もイマイチなので、何だかモヤモヤ。。

そんな時は!!
アキ・カウリスマキ先生に頼るしかない!

というわけで。
今日は、一気に制覇しないように、すこーしずつ、すこーしずつ、大切に観ているアキ・カウリスマキ作品からこちら♪
(大好きなマッティがいっぱい出てる〜)


やっぱり、この監督の作品に漂う独特の世界観。何というか、マイペースで感情抑えめ、根拠のない自信、、いつものヤツ!

タイトルの"ラヴィ・ド・ボエーム"は、直訳すると「ボヘミアンのような生活」。
その名の通り、ひょんなことから出会った3人の芸術家(作家・画家・音楽家)達の何ともボヘミアン(自由奔放)な日々を描く。
この3人が、なんとも言えないとぼけた味わいで、やってる事ははちゃめちゃなのに
何故か憎めない。。

観た後に知ったが、プッチーニの有名なオペラ "ラ・ボエーム"と同じく、アンリ・ミュルジェールの"ボヘミアン生活の情景"を原作としているという。
相変わらず、シェイクスピアのハムレットだの、ドストエフスキーの罪と罰等と同様、題材は手堅いね!

主な登場人物は、
*小説家 マルセル
(アンドレ・ウィルム)
*画家 ロドルフォ
(マッティ・ペロンパー)
*音楽家 ショナール
(カリ・ヴァーナネン)

ここに、ロドルフォと恋仲になるミミ(イヴリーヌ・ディディ)ともう一人が加わって、くっついたり離れたり、食べる物も事欠くほど貧しくも、ささやかに愉快な日々を送るのであったが、、

まぁ、見事に皆売れない芸術家であるのだが、ひょっこり現れた客にロドルフォの絵が奇跡的に売れたり、マルセルが新聞王に雇われて、一時的にお金が入ったり。
でも、お金が入ったらすぐなくなっちゃうのがカウリスマキ流。
派手に使ったり、落としたり、失くしたり、、笑
とりあえず、お金がない時にすぐ賭け事に頼るのはやめよう!…と思ったら今回は勝つんかい!

そんなエピソードの中に、サミュエル・フラーやルイ・マル、ジャン=ピエール・レオ等のカメオ出演があり、カウリスマキ監督の交友の広さを知る。
いやぁ、何とも豪華すぎる♪(詳しくはネタバレ・コメント欄参照)

好きなシーンは、、
ロドルフォが描いている絵を「誰の肖像画だ?」と聞かれて「母だ。」と答えるシーン(絶対違うやろ!笑)。
また、ロドルフォがミミにコーヒーを淹れてあげようとするが切らしていて、代わりにスープを作るのだが、その具が、、⁉︎なシーン(絶対あかんヤツ!)。
男は我慢できるけれど、女性にとって貧しいのはかわいそうだから、皆でたまにはピクニックやショッピングに行こう!となるシーンが、本当に幸せに溢れていて、、大好き♡
ショナールのハイライト!変な前衛的な曲を聴かされた仲間達のドン引き具合、、笑



そんな感じで、散々カウリスマキ節に笑わされたそれからの先の展開は、、



本当にどうしようもなく悲しくて切ないのだけれど、何故かものすごく温かいものも感じて、
その余韻がじわーーっと来て、、


何とも言えない気持ちにさせられた。



悲しいけど、ずっとずっと心に残る、そんな作品。

マッティ・ペロンパーの後ろ姿が忘れられない。。


カウリスマキ観て元気を出そうと思ったのに、とっても切なくてしんみりしてしまったよ。。





*個人的MEMO
シェーンベルグ
ランボー
ヴェルレーヌ

アンドレ・ウィルム、イヴリーヌ・ディディ
→ル・アーブルの靴みがき
カリ・ヴァーナネン
→浮き雲
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