きらきら武士

犬鳴村のきらきら武士のレビュー・感想・評価

犬鳴村(2020年製作の映画)
2.7
次男と鑑賞。
福岡県民なら一度は観ておくべき作品。
なんてことはないが、今や福岡県で一番有名な峠だし、怪談だし、ホラー映画だし、遠い遠い知り合い坂東龍汰君も出てるし、一度観てみるかと。

結果。
「詰め込み過ぎ」
自然と二人から出た感想。

怖くないという意見もあるけど、個人的にはそこそこちゃんとこわいホラーだと思った。だが、怖がらせポイントを沢山作ろうとし過ぎたのだろうか。話があちこちに拡がって、呪いか何かで人が死んで霊になって主人公怖がらせて、うん、それで君は何がしたいん?何を伝えたいん?そんな疑問が湧くが話はまた次のイベントへ。
詰め込んだはいいがそれぞれの話があまり噛み合っておらず、全体的に散漫な印象が残った。

でも主役の三吉彩花は個人的に収獲だった。凛々しいくっきりした目鼻立ち、高めの身長。とてもお美しい。彼女を知るだけでも観た甲斐があったぞ。


以下ネタバレあり



「犬鳴峠」のリアルな現地再現とか、ちょいちょい出て来る地元ネタの部分が一番面白かった。
「この先 日本国憲法 通用せず」
アホアホ臭漂う、有名なこのネタ看板(実在はしない)もちゃんと出てきてて笑えた。映画ではなぜか電力会社の社員がこの看板を立てている所が描かれている。電力会社の名前は筑紫電力。地元感出しててちょっとウケる(笑)犬鳴は旧筑紫郡エリアからは遠いが、大昔は筑紫は九州とか福岡県エリア全体の古称でもあったからアリはアリ。てことから、筑紫電力はもろに九州電力をこすってるんだが、作り話にしても住民を拉致監禁、犬に犯させるとか度が過ぎる。唐突に電力会社にあり得ないエピソードで砂ぶっかけて来て笑えた。

旧犬鳴トンネルのコンクリートブロックとか、最後の現地の空撮映像には県民としてちょっと胸が熱くなった。母子手帳はちゃんと宮若市だったしね!

ラストは少々ひっかかった。

途中、ぼかしつつも犬鳴村の人達が被差別部落民であることを匂わせる描き方をしていたが、最後の最後で実はやっぱりその村人達皆の「血」が「汚れた血」で、患者の男の子や主人公に引き継がれていることを示して終わっていた。
「血」を遺伝の比喩表現として使うのはいいとして、村人皆の子孫にまで遺伝する「よごれ・けがれ」って何だ?最後の最後にすごくナイーブな話題に無神経に踏み込んでいるが、きっと無自覚なんだろう。減点。

続く監督の作品『樹海村』、『牛首村』を鑑賞するのに不安を残した。
ホラーの新味、村風味三部作。第一作目からもう味がしなくなってきているが、さて?

#2024 #9
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