マルケス

黒い司法 0%からの奇跡のマルケスのレビュー・感想・評価

黒い司法 0%からの奇跡(2019年製作の映画)
4.0
事実ベースのシリアスな題材は、フィクションと違って観客を引き込む仕掛けが制限される。それでも、優れた脚本と俳優達で見応えのある法廷ドラマだった。

主演はマイケル・B・ジョーダンとジェイミー・フォックス。2人の“静と動の怒り”が印象に残っている。
ブライアン(マイケル)は、刑務所の面会時に係官から下着まで脱げと言われる。憮然とした表情で従い、また脱いだ服を着る。このシーン、ブライアンは一切言葉を発しない。それでも沸々とたぎる屈辱の怒りが伝わってくる。
マクミリアン(ジェイミー)は再審請求が棄却され、初めて感情を露わにした。独房に戻ることを拒み、抵抗し、叫ぶ。感情が爆発した怒りだった。
ティム・ブレイク・ネルソンも上手い。トラウマを背負った小心者の犯罪者ラルフ・マイヤーズそのものだった。

冤罪は、冤罪そのものの罪ともう一つ、真犯人を逮捕できない罪があると思っている。無実の人間を犯人に仕立てる時間と手間を捜査に向けていたら、始めから偏見・予断を持たなかったら、真犯人逮捕は不可能ではなかったし冤罪も生まれなかったはず。
しかもこの事件、約30年前と最近のことなのだ。理不尽さにギリギリと奥歯を噛むような作品だった。
マルケス

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