ユン

影裏のユンのネタバレレビュー・内容・結末

影裏(2020年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます


30歳男の、親友の喪失と普通に戻るまで

埼玉の本社から岩手・盛岡に出向してきた今野(綾野剛)。そこで日浅(松田龍平)という男と出会う。
この男、人の話を適当に流して真面目に聞こうとしないし、人当たりは良いが自分の話をしない。
例えば、転職先の仕事内容は話すけど、そこに至るまでの動機や心情は絶対に話さない。とにかく自分の気持ちを話さない。だから分からない。微妙に温度のないひとだなーって感じ。

それに対して、今野は読書家だし演奏会で涙を流すような感受性が高いタイプ。
おそらく理想主義者でロマンチストな面があるんじゃないかなー。だから、無意識的に‘人間の影の一番濃いところ’を見ようとしない。見ていないんじゃなくて、見ようとしない。
結果、日浅と今野はずっと根本ですれ違っているような感じがする。

それでも今野は自分の理想を追い続ける。
知り合いが1人もいない土地という閉鎖的な環境も影響して、より日浅への依存が強くなる。人間関係におけるエネルギーは分散しないと、過度な依存関係に陥る。そしてその多くが共依存になるはずなんだけど。日浅は全くなんだよね。やっぱこの人何者なんだ?

結局、最後まで今野は日浅の影を追っていて、対岸に幻影を見てしまうほど。
今彼が「だーれだ」することで日浅の幻影はタバコの煙とともに消えるが、彼の言葉には答えずただ曖昧に微笑むばかりである。(かつて日浅のことは当てたくせに…)

今野はどれだけ幸せになっても、日浅を忘れられないだろうなー。

当初逃げられたニジマス、最後は自分から逃すんだよね…



○好きシーン
・古本屋寄るとこ
・一度姿を消した日浅がベランダから現れるシーン、なんともいえない表情を浮かべる今野
今。悲しいの?うれしいの?複雑な気持ちが混ざり合う
・「俺もいい川見つけたよ」
・今野が日浅と仲良くなる(のめり込む)につれて、生活が整っていく
・今野の服装の変化
・契約したあとドア開けちゃう もう会えない気がしたのかなー。
・日浅を見つめる今野の目


・抽象度高くて曖昧
映像中にヒントは散りばめられているが、寄りで注目させるようなカットが少ないので、筋を拾うのが難しい
・仲良くなるまでがはやい気がする、入り込みにくい
ユン

ユン