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影裏のmのレビュー・感想・評価

影裏(2020年製作の映画)
4.0
好みの映画だった。

今野の映し方が印象的だった前半。
下からなめるように写す生脚、床に座り控えめに笑う顔(日浅は常にソファ)、柔らかい「うん」という相槌と少し甘えるみたいな話し方、急にいなくなったと思ったらふらっと現れる日浅に「ずるい」と言いたいのに言えない口元。
今野が日浅に友情ではなく恋愛感情を抱き始める過程を前半で丁寧に描いていたからこそ、後半の展開が効いたと思った。

震災後、日浅の安否がわからなくなり、誰に聞いても確かな情報を得られない。
自分の知っている日浅を知っている人がいない。

互助会は日浅の影の部分の象徴でもあったけれど、日浅の存在自体を見失いそうになっていた今野にとっては、互助会からの封筒はまぎれもなく光だった。
日浅の直筆が残る契約書は、日浅がいたことの証明。

日浅が今野をどう思っていたのかはわからない。
だけど、日浅が今野に契約を頼みに来たのは最初の入会の時だけ。
コース変更も案内の書類を送っただけだったし、お金を貸してほしいとも言わなかった。
それは日浅の今野に対する良心だったのかもしれないし、友情だったのかもしれないし、恋情だったのかもしれない。


主演お2人のお芝居がとても良かった。
前半の「寝起きか?」「寝起きじゃないよ」ここが好きすぎた…
そりゃあ今野もその顔になるよ…
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