いろどり

オオカミの家のいろどりのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
4.0
予告編を観て一目惚れ。すぐに劇場に走った。
結果、大正解。
最初から最後までスクリーンに目が釘付け。
物体が蠢く音、虫の音、誰かの囁き、この世ならざるものの声が背後から聞こえるキモ体験。映画館ならではの新感覚を味わえた。

三匹の子豚のようなお話であり、チリのカルト集団から逃げ出した少女の話でもある。

ヤン・シュバイクマイエルの「醜」と、デビッド・リンチの「不気味」と「難解さ」を兼ね備えた不穏ムービーだった。部屋の壁がキャンパスとなり、幾度となく塗り替えられ変容し、泥人形かと思えば絵になったり実写になったり、人形を支えるテープや棒が見えていたり、色々と斬新で観ていて飽きない。驚くべきは、ジオラマではなくすべて実寸の撮影であり、ワンカット長回しであること。「マリア~」というそら恐ろしい声が本当に気持ち悪くて、大好き。

カルト集団のプロパガンダという設定も面白い。
白人のおごり、白人への憧憬はチリにもあるんだ。ラストに少女がとった行動があまりにリアルで悲しくなる。
洗脳って怖い。

長編デビュー作というクリストバル・レオンとホアキン・コシーニャの二人組。アリ・アスター監督の絶賛もうなずける。ストップモーションアニメ界としても、ファウンドフッテージものとしても、新しい時代を築く寵児となる可能性を感じた。音を感覚で楽しめたので映画館で鑑賞できて良かった。
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