ぶみ

ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへのぶみのレビュー・感想・評価

3.0
ビー・ガン監督、脚本、タン・ウェイ、ホアン・ジエ等の共演による中国、フランス合作のドラマ。
父の死をきっかけに、故郷凱里に帰って来た男の姿を描く。
中国では一日で41億円の興行収入があったとされる記録的大ヒット作品。
冒頭から、時間軸が入り乱れ、素性不明な登場人物、散文的な語り口の台詞、噛み合わない会話、赤や緑が印象的な色彩、雨漏りする家と、幻想的かつ芸術的な雰囲気が醸し出されているが、物語は何が何だかさっぱりわからない、というのが正直な感想。
と、ここまでが前半80分、すると、とあるシーンをきっかけに、別空間に誘われ、そこからは『1917 命をかけた伝令』も真っ青の60分ノーカットシーンが展開。
この後半は、本来3Dで観るべきもののようであり、それは叶わなかったが、2Dでも十分その世界観に酔いしれることができる。
特に、リフトで下っていくシーンが妙に浮遊感があり、この作品の売りの一つである、夢と現実の狭間を見事に描き出している。
とは言うものの、前半同様、物語は結局最後まで理解できず。
ただ、終わってみると、138分という決して短くない上映時間が、長かったのか、短かったのか、それすらよくわからないという感覚に陥ったのも事実であり、それこそが監督の意図したところか。
あまり深読みせず、「観る」よりも「眺める」くらいが丁度良い怪作。

夢は忘れた記憶だ。
ぶみ

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