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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのsonozyのレビュー・感想・評価

4.5
1920年代にオクラホマ州で発生した、先住民のオセージ族 連続殺人事件について書かれた2017年のノンフィクション『Killers of the Flower Moon:The Osage Murders and the Birth of the FBI(花殺し月の殺人:インディアン連続怪死事件とFBIの誕生)』を原作とするマーティン・スコセッシ監督作。
レオナルド・ディカプリオが主演とプロデュースにも名を連ねてます。

オクラホマ州オーセージ郡。
石油の発掘によって莫大な富を得たネイティブ・アメリカンのオーセージ族は、お抱え運転手を持つ世界一の富裕層となっていたが、仕事や金を求め集まった白人との結婚による子孫も増え、白人社会への同化に長老たちは嘆いていた。

第一次世界大戦から戻ったアーネスト・バークハート(レオナルド・ディカプリオ)は、地元の有力者で広大な保留地で暮らす叔父ヘイル(ロバート・デ・ニーロ)と、アーネストの弟バイロンらに迎えられる。
オーセージ族の4姉妹の次女モリー(リリー・グラッドストーン)に惹かれたアーネストは結婚し、子供も授かる。

やがて、モリーの姉妹も含むオーセージ族が次々と謎の死を遂げるが、白人の医者、保安官、裁判官は腐敗しており、犯人は明らかにされぬまま。
体調が悪化するモリーは、ワシントンに出向き、大統領に捜査して欲しいと直訴。
後のFBIとなるフーヴァー長官の下、特別捜査官トム・ホワイト(ジェシー・プレモンス)らが捜査に乗り出す。

オーセージ族とも信頼関係を築いているように見えるヘイル役のロバート・デ・ニーロのクセ者っぷり。
キングと仰ぐヘイルの指示通り動き、裏で武装強盗殺人もやらかしてるが、モリーを愛しているアーネスト役のレオナルド・ディカプリオのアホ面っぷり。
そんなアーネストの愛を信じつつ、次第に白人たちへの不信感を募らせていくモリー役のリリー・グラッドストーンは、ネイティブ・アメリカンの血を引いているという方ですが、とても魅力的。

最後に登場するのは、実際にあったという、事件の再現ラジオ劇「The Lucky Strike Hour」。
ここにマーティン・スコセッシが登場し、あのラストシーンにつながることで、彼のこの作品への想い・メッセージを感じ取れます。

“Killers of the Flower Moon(花殺し月)”とは、オーセージ族が5月を指す言葉で、4月に大地に咲き乱れた小さな花が、5月に背の高い大きな草花により枯らされてしまうということからだそう。白人たちに駆逐されるオーセージ族を象徴しているんですね。
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