みーちゃん

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのみーちゃんのレビュー・感想・評価

4.0
実在の事件を描く意義や、プロダクションデザインが作りだす世界観はさておき、鑑賞直後は少し感動に欠ける気がした。なので、3時間半も何を見せられていたのだろうと後で考えた。

それでも、ディカプリオが苦悩するなんて陳腐なシーンが無いのが素晴らしい、ということは鑑賞中に分かった。逆に、もしそんなのがあったら途中で嫌になってたと思うくらい、これは重要なポイント。ということは、趣向を凝らした演出は敢えて散りばめなかったのかな。確かにそれによって作為的な誘導が無く、観る側が自由に受け取れるのかも。

で、私の受け取り方は、これは1920年代初頭のオクラホマで実際にあった連続殺人事件だけど、単にこの事件を描いているようには思えなかった。むしろ100年経った今はどうだろう?と言われている気がした。搾取は更に洗練され、戦争は常態化し、気候変動は加速…。ある意味、もっと悪くなってる。

でも、決して絶望ではないのがあのエピローグ。これまで時系列で粛々と描いていたのを、ラジオショーで歴史を大胆にショートカット、からのオセージ族の祭り。

そんなこんなの人間の営みを吸収する近代と古代のエンタメの対比と、スピリチュアルなパワーのイメージで、過去・現在・未来の時間軸が一気に繋がるような気がした。つまり、今から100年後の地球をどうしたい?という、マーティン・スコセッシ監督のメッセージだと思う。