みーちゃん

ジャッカルの日のみーちゃんのレビュー・感想・評価

ジャッカルの日(1973年製作の映画)
4.7
完璧なバランスでかっこいい。ワンショットの長さ、切り替え、繋ぎ方など、映像作品として一貫してブレないリードに溜め息が出る。

クールなのにエモーショナル。何故そんな相反する感覚になるのかな?と考えると、描き方と描かれている事の計算されたギャップだと思うから、益々かっこいい。

例えば、当たり前だけど完璧な人間なんていない。冷酷なジャッカルでさえ、そうだからああなったわけだし、敏腕なルベル警視も完璧主義とは違いそう。ルベルのキャラクター設定は意外性があって興味深いなー。これが本作に普遍的なエレガンスを与えていると思う。

自身の大義名分のために誰かを利用する人、利用される人、それぞれの立場があり、大きな事件を背景に、その一部分を切り取りながら、誰のことも嫌いにさせない。マダムも、サウナの人も、哀しいスパイも、責任取った高官も…登場人物全員に存在意義とリスペクトを感じる。

観客にそう思わせるための仕込みも完璧。オーダーメイドの銃、蚤の市での古着、火薬を少し飲んだの⁉︎など、挙げ出したらキリがない。印象的なジャケ写もアイテムの一つ。以前から知ってはいたし、かっこいいなぁと気になってはいたが、このショットの正体は、映画を観た人にしか分からない(体験できない)。こんな仕掛けにも密かに痺れた。