三月

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンの三月のレビュー・感想・評価

4.1
音楽と音響が素晴らしく、それだけでも大きな劇場で観る価値は十分にあった。特にエンドロールの音たちの、気温や風の質感まで感じるような美しさ。あれは劇場が違うとまた聞こえ方が変わるのかな。

直接の手は下さずに、言葉で人を操る"キング"おじさんと、操られていることに甘んじて欲望に負け続けるアーネスト。
ロバート・デニーロとレオナルド・ディカプリオのナチュラルすぎるクズ野郎演技は期待通り。
特にディカプリオにおいては、強欲で単細胞なアーネストの輪郭をブレずに体現できているがゆえに、彼の中のわずかな魅力や本物の感情も同時に浮き彫りにして見せることができる手腕が見事。

あと、一人ひどいサイコパスがいたね…あいつは放っておいてはいけないタイプ…。あのストンと残酷な存在感も良かった。
ジェシー・プレモンスの捜査官登場以降、探偵もののような雰囲気が加わるのも意外で面白い。

総じて観て良かったという感想だけど、人に勧めるのは少し躊躇してしまう。何しろ長いし…
途中でトイレに立つお客さんもちらほらいたのだけど、みんな割と屈んだりせず、背筋を伸ばしてスクリーンの前を行き来するので(笑)昭和に遡って名作映画を見ているような風情が出ていたのも、個人的には面白かった。
三月

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