1月11本目の試写会は『私、オルガ・ヘプナロヴァー』マスコミ試写。
1973年、プラハでバスを待つ人々の列に故意にトラックで突っ込み、8人の人間を轢き殺し、チェコ最後の女性死刑囚となった22歳のオルガ・ヘプナロヴァーを描いた作品。
音楽もナレーションも一切入らないモノクロの画面。俯瞰したようにオルガの人生が時系列通りに描かれていく。
学校でのイジメや、LGBTゆえの疎外感、自殺未遂。オルガは社会に対する恨みを募らせていく。
オルガは反抗前に新聞社に声明文を送っていたそうだが、その事件も、特に煽るでもなく、昨日の続きの今日のように唐突にやってくる。
事故後に被害者や被害者の家族を追うでもなく、警察やマスコミの反応などを描くのでもなく、あくまでも余計な視点は入れない。
「私、オルガ・ヘプナロヴァーはお前たちに死刑を宣告する」
オルガの行為は人々から受けた虐待に対する復讐であり、二度といじめられっ子によるこういった事件を起こさないために、社会に罰を与えたのだ、と主張し、自ら死刑を望む。
作品は絞首刑が行われる日まで、一切のモノローグもなく淡々と綴る。理解も同情する余地もなく、一切の主観を排してオルガ・ヘプナロヴァーを描き切る。
裁判での彼女の主張は完全に理解不能だが、「秋葉原通り魔事件」を思い出した。
昨今、犯罪に対する「理解」や「赦し」「死刑制度」などをテーマにした映画が多いが、私たちはこの『オルガ・ヘプナロヴァー』を前にして、何を思えばいいのだろう?
『私、オルガ・ヘプナロヴァー』は4月29日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開です。