みーちゃん

先に愛した人のみーちゃんのレビュー・感想・評価

先に愛した人(2018年製作の映画)
4.3
台湾の最強脚本家と言われるシュー・ユーティンの作品。あらすじ欄とジャケットからは、伝わりにくいかもしれないが、とても良かった。この作品を紹介する何かの記事で、LGBT映画と書いてあったけど、私はそんな狭い括りは感じない。

脚本、カット構成が優れてる。表面が透けて、少しずつ本質が見えてくるところ。回想シーンを絡ませながら浮かび上がらせるところ。コミカルなところ。まんまと乗せられるのが悔しくなるくらいに上手い。

中盤以降の展開は予想を超えてきた。紆余曲折しながらも、社会通念や常識より、自分を大切にすることに辿り着き、他者理解や共感に昇華する。それをそのまま伝えるのではなく、的を得たエピソードを通して、観客も一緒に成長したような気持ちにしてくれる。

劇中劇のフィナーレ。舞台上でロイ・チウが流す涙の意味は誰にも分からない。でも、それでいい。今は暗くて見えなくても、目の前にはいなくても、同じ涙を流す人が、きっとどこかにいる。心が洗われる素晴しい演出だった。