ルッキオ

優しき罪人のルッキオのレビュー・感想・評価

優しき罪人(2018年製作の映画)
4.3
ミニシアター系韓国映画。佳作です。

女性監督らしい心の機微に寄り添った、丁寧な映画。
もはや名優と言って差し支えないキムヒャンギの演技に心が動かされる。

結果として、彼女たちの人生は何も好転はしなかったけど、幸せな瞬間に嘘はなかったんだと思う。
ラストの意味深なクローズアップが胸騒ぎを起こさせるわけなんだが(劇中答えは明示されない)、もし仮にヨンジュが手を下したのならそれは被害者としての権利ではなかろう。

ヨンジュだけは幸せになれることが出来たのに、弟や病床の息子がそれを邪魔する。
おじさんやおばさんの心の負担を楽にしてあげたいと思うことは罪なのか。
弟の保護者として背伸びをしているように見えるけど、本当はまだまだ子供でいたかったというのは至極当たり前のことだ。
真実を打ち明けることで両親を二度亡くす感覚を与える残酷すぎる展開。
不本意にも加害者たちに重い十字架を再び背負わせることになってしまった。

橋の上で号泣する本当の気持ちはヨンジュにしか分からないのかもしれない。
もしかしたらハードすぎるラストかもしれないし、そうじゃないかもしれないけど、色んな選択肢を観客に投げかけて終わるエンドだった。

「優しき罪人」って邦題ははもしかしたらヨンジュって可能性もあるわけで、何気に深いタイトルだったりして。
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