ふじこ

いろとりどりの親子のふじこのネタバレレビュー・内容・結末

いろとりどりの親子(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

一般的なマジョリティに属さない、"普通"ではない子供を持つ家庭にフィーチャーしたドキュメンタリー。
ゲイ、ダウン症、自閉症、身体欠損、小人症。
沢山出てくる"普通"ではない人たちやその家族の気持ちを、心身共に健常で性的指向も普通なわたしが観ても、端々が心に引っ掛かり、あぁこれはわたしの話でもある と思える瞬間があった。
重度の自閉症で言葉の出ない子が綴った、"僕の気分は 檻の中の虎だ"という言葉にも、わたしもそんな瞬間があるよ と思った。

脳や身体的欠損の方々の次に、子供を殺した子供を持つ両親が出てくる。
マイノリティ、という言葉をもう一度見返すくらいに衝撃的だった。確かに"普通"ではない子供を持つ親だ。
16歳の時に8歳の少年の喉を切り裂いて終身刑。
厳しさを感じると同時に、日本の法律の甘さも感じる。
途方もない悲しさと、途方に暮れるほどの困惑をずっと抱えながら生きるんだろうなぁ。
どうして、と、わたし達が悪かったのか、と。なんて悲しい。
もしも自分だったら と考える時に、もし自分の子が犯罪を犯してしまったら?取り返しのつかない命を奪ってしまったら?と、もし命を奪われたのが自分の子供だったら?の どちらのスタンスも有り得るんだよな。

どんな子供であっても愛しい愛しいと思い育ててくれる親がいる向こうで、受け入れるのが困難な親もいるだろう。
親であったとしても結局は人と人との関わり合いだし、"いろとりどりの親子"ってなるほどなタイトルだった。

障害があろうとなかろうと、性的志向がどうであろうと、犯罪を犯そうと真面目に生きようと、何処にでもありそうな平凡な家庭であろうと、すべてが いろとりどりの親と子なんだよなぁと思った。
基本的にはそれぞれ、一人しかいないからなぁ。大事にしたい。

欲を言えばもうちょっと長めに観たかったな、と思いつつ。良かった。
ふじこ

ふじこ