千年女優

Girl/ガールの千年女優のレビュー・感想・評価

Girl/ガール(2018年製作の映画)
4.0
バレリーナを志望するトランスジェンダーの少女で、名門バレエ学校に通うため父と弟とアントワープへと越してレッスンを受けながら性別適合手術に向けた準備を進めるララ。男の体を隠すことで日々ストレスを募らせ、思う様に進まぬホルモン補充療法に焦りを感じる彼女が、様々な抑圧に耐えかねて起こす出来事を描いたドラマ映画です。

ゲント王立美術アカデミーで映画を学んだルーカス・ドントが同じベルギー出身のダンサー、ノラ・モンスクールのエピソードにインスパイアされて制作した彼の長編映画監督デビュー作で、作劇や主演を演じたヴィクトール・ポルスターのジェンダーに批判はありつつも多くの称賛を集めてカンヌ国際映画祭でクィア・パルムを受賞しました。

批判のあったクライマックスの「出来事」は確かに過剰で恐らくはインパクトを狙った作劇の都合ですが、もうひとつの矛先ポルスターが素晴らしい演技で説得度を積み重ねたことで、図らずもそれとそれに至るまでの日々のどちらが真に「痛い」のかを問うています。一見すると寛容な家族すら真の理解者ではない苦悩を捉えている一作です。
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