おれさま

mid90s ミッドナインティーズのおれさまのレビュー・感想・評価

4.3
"sunburn!"

まずはじめに、
おれさま、90年代生まれです。
その為、本作の時代とズレはあれど、このmid90sに触れた同世代には変わりありません。自身にとっても、これぞ青春であり、憧れやカルチャーに触れる、宝箱のような作品です。

少年から青年へ。
10代半ばのアイデンティティ形成時期。全てが恍惚に見えて、全てを確かめたい、そんな青春時代。自分がしたいこと、経験しないとわからないこと、憧れに近付ける時期、何者にでもなれる。誰しもが通ったであろう時間。
映画単体で言うと、何か大きなことが起きるわけではない。ただ、自身の記憶や宝物を振り返る時間をくれた、かけがえのない作品になった。青春映画の傑作といっても過言ではない。

監督自身、"我が子の初登校を見守る気分"と表している通り、完璧な出発作品になりました。80年代後半から90年代初頭の曲を中心に、劇伴もエモーショナル。スケートボードやファッション、画面のアスペクト比やなんとも言えない色味。違和感から懐かしさへと。監督の90年代カルチャーへの特別な想いが伝わってきます。負の象徴でもある、ドラッグやセックス、アルコール、タバコの存在も邪魔をせず、憧れの一つとして仲間に溶け込む。仲間に入れてもらえた時の喜び。仲間と共有する日々。シーンのひとつひとつにhigh five。

兄の部屋の憧れ、もの凄くわかる。
タートルズからクールな部屋に移り行く様。過去の自分を見ているようでした。小学生高学年から中学生のとき、憧れのプロ野球選手から映画スター、ロックスターへ。いまでも実家の壁にはオードリー・ヘプバーンのポスター。
そしてスケート、もう分かり味が凄い。自身も近所のお兄ちゃんたちと一緒に滑っていたのを今でも覚えてる。顔面から転んで顎を思いっきり強打、大泣きしたのも良い思い出。
鍵っ子だった自分にとって、門限なんて破るもの。
A24は雰囲気という全部の色を知っているかの様に魅了してくれる。

RAY、FUCKSHIT、RUBEN、FOURTH GRADE。皆さんの周りにも彼らが居たのでは。ラストのビデオで、童心と共に思い出の中の主人公のおれが、茜色にぴかぴかしてました。

公式ホームページが、"青春という魔法の季節"と表現してたことがもう、好き。
青春映画の傑作です。
おれさま

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