真一

この世界の(さらにいくつもの)片隅にの真一のレビュー・感想・評価

3.4
 私たち日本人🇯🇵が決して忘れてはならない「あの時代」🔫を、戦場の皇軍兵士💂‍♂️でなく、見知らぬ町に嫁いだ名もなき少女👩の視点から描いた長編アニメ作品📽️。粗末になっていく食事🍚、一家総出での防空壕づくり、親しい人の死☠️を通じ、しのびよる戦争🔥をスケッチします。ただ悲惨な時代を美化している印象もあり、評価は分かれると思います。

 舞台は、太平洋戦争🔥下の広島県呉市。呑気で素直で世間知らずの少女すず👩=声・のん(能年玲奈)=は、嫁ぎ先の小姑🧍‍♀️から当たり散らされ、海軍兵士の夫🧔に浮気されながらも、笑顔を忘れずに日々を過ごす。支えは得意の「お絵描き」🖼️だった。楽しい時も、辛い時も、絵を描くー。すず👩の健気な生き様が、胸にしみます。

※以下、ネタバレを含みます。

 だが戦況の悪化は、小市民であるすず👩の生活にも影を落とし、ついには恐ろしい空襲🔥にさらされる。そして不発弾💣️に、大好きな義理の妹👶の命と、絵描き🖼️にとって何よりも大切な自分の右手✋を奪われたのだった。それでも苦難の時代を生き続けるすず👩。終戦後も瓦礫と荒廃の中、時代に抗うこともなく、自分と家族の幸せを信じて、左手一本でご飯を作り、里子に迎えた戦災孤児👶を抱き締めるのだった。

 最大の見所は、声優のん🧏‍♀️の神演技!素直で不器用なすず👩の呟きや息づかいまで、見事に再現しています。穏やかな中にも、かすかに切なさを感じさせる「はあ」とか「あうっ」という一言が、観る人の涙腺😢を刺激します。空襲で消失する前の呉の家並み、原爆投下前の広島の商店街が再現されているのも、感動的です。

 それでもなお、悲惨な実態を薄めている印象は拭えませんでした。嫁ぎ先でいびられても笑顔は見せられるものなのか?浮気した夫🧔をあれほど慕えるものなのか?「はだしのゲン」のあのドロドロの世界がリアルだと仮定すると、本作品は砂糖🧂とミルク🥛を大量に入れて甘口🍰にした感じがします。

 総じて言えば、良作🎬️です。
真一

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