櫻イミト

牧師の未亡人の櫻イミトのレビュー・感想・評価

牧師の未亡人(1920年製作の映画)
4.0
ドライヤー監督の3作目。監督自身もお気に入りの知られざる傑作(未DVD化)。

【物語】
ノルウエーの田舎の教会で、亡くなった牧師の後任を選ぶ審査が行われることになった。神学生のセフレンは婚約者のマリと共にやってきて審査に見事合格するが、牧師になるためには前任牧師の年老いた未亡人マルガレーテと結婚するのが条件だった。セフレンはマリを妹と偽り家政婦として一緒に置いてもらうことにする。やがて若い二人の心に悪魔が宿り、マルガレーテの死を望むようになるのだが。。。

物語が面白く深みがあり映像演出も安定していた。宗教的な示唆に富んでいて学びと感動もあった。ラストの十字架ワイプまで演出が行き届いている。

若い二人を成長させた老未亡人マルガレーテの敬虔な態度が本作を引き締めている。演じた女優ヒルドゥア・カルベルイは、自分の死期が近いことを知りながら渾身の演技で撮影に挑み、完成した映画を観ることなく亡くなった。

※同年の映画
「東への道」アメリカ:グリフィス監督
「カリガリ博士」ドイツ:ウイーネ監督
「蜘蛛 第二部」ドイツ:ラング監督
「霊魂の不滅」スウェーデン:シェストレム監督
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