mako

二階堂家物語のmakoのレビュー・感想・評価

二階堂家物語(2019年製作の映画)
3.8
本作は、NARAtiveから誕生した映画です。 
NARAtiveとは、なら国際映画祭の映画製作プロジェクト。今後の活躍が期待される若手の映画監督を招き、奈良を舞台に映画を製作。日本の第一線で活躍するスタッフが集結し、地域の人々の協力のもと映画をつくり、完成した映画は、国内外は飛び出し、奈良の魅力を人々に届けます。(フライヤーに記載) 
監督はテヘラン出身のアイダ•パナハンデさん。 
エグゼクティブ•プロデューサーは河瀬直美さん。 


奈良県天理市を舞台に、代々続く名家の跡継ぎ問題に悩む親子3世代の物語。 
家系存続ため、祖母ハル(白川和子)は、孫息子を亡くし離婚した息子辰也(加藤雅也)に好意を抱いている美紀(伊勢佳世)と結婚して世継ぎ•男の子を産んでほしいと思っている。 
辰也は代々続く家系が途絶える危機と好きでもない美紀との結婚に葛藤。 
辰也の娘由子(石橋静河)は家系存続のため、自分の気持ちを犠牲にしようとする父と自分の人生の間で葛藤。 
三者三様の思惑と葛藤が描かれていて、結構重苦しさがありました。 
今どき、まだこんな問題を抱えている家があるのかと少し驚きながらも、ある事を思い出しました。 

それは長男を妊娠中の時、今から17年前。 
倉敷に住んでいた頃、母親学級での話です。 

妊婦さん: 「性別は知っているけど義父母にまだ知らせていない」 
私たち: 「どうして?」 
妊婦さん: 「本家なので男の子を望んでいて、女の子って言えずにいて」「産まれるまで、性別は言わない」 

みたいな事を聞き、未だにこういう事があるんだなと驚きました。名家かは知らないけど家を存続させなきゃという思いは田舎だと特に根強くあるのかもしれない。 
うちは名家でも本家でもないからそういうのに縛られなくていいけど笑 

本作では辰也が心惹かれる女性沙羅(陽月華)がいて、沙羅も辰也に好意を持っているけどある事があり一緒になれない。それを独白する沙羅のシーンに胸が痛みました。 

こういう家柄にとって嫁は子を産む道具なのか。 
でも必ず産まれてくる子が男の子とは限らない訳でそれってどうなんだろう。 

ラスト、私の予想していた展開にならなかったし、その描写に気持ち悪さを覚えました。 

楽しい内容ではないけど、日本の家制度や田舎特有のあるあるもあり観飽きることなく鑑賞できました。 


◆雑談◆ 
11日に『ヴィクトリア女王 最期の秘密』の後に鑑賞。 
早く感想を書かなきゃと思いながら心に余裕がなく忙しさも相まって書けずにいました。 


劇場鑑賞 #32
2019 #49
mako

mako