JunichiOoya

陽のあたる町のJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

陽のあたる町(2017年製作の映画)
5.0
ジョージア映画祭、大阪の楽日に滑り込む。

思えば今年は土本典昭、岩佐寿弥、福田克彦、C・ランズマン、F・ワイズマン、そしてJ・メカスと旧作ドキュメンタリーを堪能させていただいたが、年末に本命登場。岩波ホールでは去年の公開ということだが、強引に今年のマイベズトテンに繰り入れさせてもらいます。

ドマーゾ・カンパネッラの『太陽の都』と完全にリンクした作りなんだと思うけど、映画には日差しが現れない。半袖を着て扇風機が回るシーンでも曇天。あるいは小糠雨から篠突く雨まで、そして雪。偉大なる指導者、大いなる理想たる太陽はもはや彼の地には存在しないのね。

マチュピチュの遺跡を思わせる廃市で無表情に暮らし続ける人たちが一様に無口な雄弁で惹き込まれてしまう。

ほぼ廃虚になってるスタジアムの、なのに手入れされて鮮やかな緑を訴えかけてくる芝と、坑内で食べるパンのおかず=丸いソーセージが齧られて歯形を残して小さくなっていくところ、いたく感動しました。

評判作で、ましてや最終日ということで、映像作家やコアなファンの方など常連さんが大集合でした。
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