JunichiOoya

瞼の転校生のJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

瞼の転校生(2023年製作の映画)
3.0
大衆演劇の座長の息子が興行の小屋を変わるたびに1ヶ月ごとに転校を繰り返し…
そんな中学生のハートォーミングストーリー。

大衆演劇というと一番身近なのは松山時代のシネマルナティックとマツゲキ。映画がはねてビルの一階に降りてくると6階の芝居後の見送りで金髪の渡世人風とかの(皆さん結構ふくよかな身体付き)お客さんお見送りシーンに遭遇したり、興行後のトラックへの積込みシーンに出逢ったり。

そもそも映画と芝居は凄く親和性が高いし、九条シネヌーヴォの近くには笑楽座、そして何より新世界国際のそばには朝日劇場! だしね。

実は実生活でも大衆演劇には縁があって。25年位前だったか、調理担当のパートの女性を採用した折に、彼女の娘さん(高校を卒業するくらいだったか)が芝居の世界に入る入らないという話を聞き及んでいて。

その後、娘さんは着々とキャリアを重ねてその劇団のスターになったらしくて。
西成のはずれの母子の話だったこともあって大衆演劇との濃い繋がりを思いました。

で、この映画。旅回り一座の中学生、主演の松藤史恩さんは『雑魚どもよ、大志を抱け!』のガリ勉眼鏡小僧がリアルだった16歳。
辿々しい芝居は評価の分かれるところだけど、映画全体を覆う緩いリズムと合ってるといえば合ってたし。

ストーリーの他愛なさを見る者の個人的記憶で上書きして、見終わった後にやわらかな気分を残してくれる、そういう映画もあって良いかと。
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