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劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンのTELのレビュー・感想・評価

4.3
<過去から現在、そして未来へ>

ちょうど映画と舞台挨拶を観終わったタイミングで書いてます。感想を一言で言うと「素晴らしかった」。

美しく感動的な物語、どの場面を切り取っても額に飾れるくらい素敵な美術、そんな物語と美術に調和する音楽、映画館で何度も観たいって思える作品です。


1.観に行く前に必ずやって欲しいこと
テレビシリーズを必ず最初から最後までもう一度観てから映画館に行って欲しいです。私も再度観ておけばよかった。冒頭の場面でいきなり感動に打ち震えたいなら是非とも観るべきです。

途中途中にも、テレビシリーズでの出来事や外伝のお話を振り返ることができる場面が出てきます。詳しくは書きませんが、なるほどなぁって箇所が散りばめられていて、それも感動につながります。

あとは、ヴァイオレットの成長を感じられるのも、時の流れをしっかり描いているこの作品の素晴らしいところ。郵便社に入社したころと、テレビシリーズが終わるころ、そして劇場版と時間が過ぎていくなかで、ヴァイオレットの会話や仕草、感情などが成長しているのがわかります。


2.感動したところ
美しい背景や人物描写、それらを観るだけで感動します。海、空、草原など、ただただ美しい美術表現、素晴らしかった。

また、ヴァイオレットに依頼してきた病室の少年の話も感動。明確に泣かせにきててズルイって思ったほどです。自分の余命が短いことを知っている少年が、家族や親友に向けて手紙。どうしても伝えられない思いを別の方法で伝える歴史の転換点、などなど見どころはたくさんあります。

さらに、複雑な想いを持ってる郵便社の社長や大佐など・・・と書けばキリがないのでここで終わらせますが、テレビシリーズや外伝が気に入った方なら間違いなく感動するはずです。


3.劇場版の物語
劇場版では3つの舞台が出てきます。とある島、病室、そして未来。これら全てがこれまでの物語とつながっています。島ではヴァイオレットの過去が、病室では今が、そしてヴァイオレットの綴った手紙が未来へ。

また、歴史も描かれます。自動手記人形が生み出された世界と、それが歴史になってしまった世界。でも、たとえ過去になったとしても、誰かに想いを伝えるという本質は全く変わらないということが、強いメッセージとして伝わってきます。

舞台挨拶でも監督が「大切な人に想いを伝える」ことの重要さを語っておられました。「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」っていうお話はまさにそれが主題なのかなって思うんです。そういった想いでもう一度テレビシリーズや劇場版を見直してみると新たな発見とか色々できそうですね。

まだまだこの作品を楽しめそうで嬉しい。


4.まとめ
はっきり言って「地味」な作品だと思います。アクションも無いし心ときめくようなラブロマンスもありません。1人の純粋な少女が、助けられ育てられ、別れ、そして思い焦がれる、そんなことをただ描いた作品です。

でも、最高の熱意と情熱を持って描き切った作品だってことが見れば誰でもわかります。

老若男女問わず誰もが楽しめる作品だと、舞台挨拶で主演の浪川大輔さんがいってましたが、私もそうだと思います。ぜひこの美しく素晴らしい物語を映画館の大きなスクリーンで楽しんで欲しいです!




※TVシリーズを観たことがない人へ※
いきなりこの映画から観るのはやめた方が良いかも。自動手記人形とか意味不明だし、ヴァイオレットが置かれている状況がわからないと劇場版はおそらく理解できないので。


※ちょっとネタバレ※
人が死ぬことで感動を作る手法は個人的には苦手なので、ちょっと点数を低くしています。
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