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雨の首ふり坂のmitakosamaのレビュー・感想・評価

雨の首ふり坂(2018年製作の映画)
3.5
時代劇専門チャンネルのオリジナル時代劇。時代劇不作のこの時代に、ちゃんとシッカリした映画を作ってくれることに先ず感謝だ。

原作は池波正太郎。渡世人の人生を描いた話で、若かりし日の凶暴さと晩年の落ち着き払った姿が描かれる。
主演は、青年期を馬場徹って俳優が、壮年期を中村梅雀が演じる。敢えてツッコむが全然似てないよ(笑)梅雀ありきなのだろうから、青年期はもう少しにた風貌の人にしても良かったのにな…。

その馬場徹演じる渡世人・源七は、兄弟分の半蔵と共に金でどんな人斬りも請け負う殺伐とした日々。ある日、斬られて負傷した際に逃げ込んだ先で、髪結いの女とネンゴロに。
この時のキスシーンは滅茶苦茶エロっちくて、かつロマンチックで良いシーン。

子供が出来るが、源七は半蔵と共に髪結いの元を去ってしまう。

25年後に源七は梅雀に転成しズングリムックリに。まだ渡世人として殺しを請け負うが、同行した若い男に堅気になるように説得させる。たまたま落ち着いた先がウドン屋で、そのまま若いヤクザは店の娘と所帯を持ちウドン屋を継ぐ。
源七も堅気になり夫婦を見守るが、そこにかつての因縁のヤクザから狙われることになる。
そのヤクザが雇った用心棒が2人。一人は元相方だった半蔵。一人は、実は髪結いとの間に出来た息子。親子だと知らずに二人は戦うこととなる。

渡世人の世界を描いているが義理人情などの美談ではなく、あくまで人殺しの因果が描かれる。

骨太なドラマ・ロケやセットも作り込んでいる。それでいてサントラや演出が極めて現代的でそのギャップがまた格好良い。カット割りなどもドキッとするような格好良いシーンがある。
(ウドン屋で源七が木の格子越しに息子を見るシーン・源七が一人で決戦の場に向かった際の、相手方が立っている構図など)

チャンバラの描写が多少弱い気もするが、中々に見応えあった。
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