RAY

バオのRAYのレビュー・感想・評価

バオ(2018年製作の映画)
3.8
“奇跡”


〜STORY〜
ある日、女性が手作りの小籠包を食べようとすると、その小籠包に命が宿る。
小籠包はすくすくと成長して行くが、反抗期を迎えて行く…。
女性と小籠包の不思議な親子。愛とは家族とは。
8分間のショートフィルムで描く。


ちょっとした時間に流して観るつもりだったのに驚きました。
こんなに短い時間に色んなものが詰まっているんだから。

子供がどれほどかけがえのない存在なのか。
物語はそのことを示すところから始まります。
まるで暗い部屋に灯りをつける様に。
そんな始まりがとても印象的でした。

思い返すと、僕自身に所謂、反抗期というものは無かったのだけど、だからこそそれって必要だったんじゃないかとも思ったりします。
正直、“良い子でいる自分”とか“家族仲の良い自分”みたいなものに酔っていた気さえしてしまいます。
とても計算高くて、自分自身も隠して、なんだったらズルい子供だったんじゃないかとも思えてきます。
しかしながら、ここに描かれた反抗期はとても素直なもので、だからこそぶつかり合うことが出来て、そして作られる関係があったのかなぁと思う。

いつかのレビューに書いたことがあるのですが、血の繋がりというのは確かに特別なものだと思います。
だけど、血を越えた繋がりがあるのも事実です。
血の繋がりが運命だとしたら、血を越えた繋がりは奇跡かもしれない。
そして、その奇跡のひとつがこの作品の中には描かれている。


8分間の短いストーリー。
だけど、ちゃんと伝わるはずです。


※ご覧になる方への注意

食事がとてつもなく美味しそうに見える為、とんでもなくお腹が空きます。
近くに食べ物を置いておかれることをおすすめします。


観て良かった。
RAY

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