けーな

マンハッタンの哀愁のけーなのレビュー・感想・評価

マンハッタンの哀愁(1965年製作の映画)
3.6
「太陽がいっぱい」「鬼火」などのモーリス・ロネが主演。相手役は、「若者のすべて」「ピアニスト」などのアニー・ジラルド。

1965年の映画なので、当時のマンハッタンの街並みが、新鮮だった。この街のどこが好きかと話すところで、マンホールから湯気が出るところと言うシーンがとても良い。彼女が、そう言っていたことを思い出して、彼女の元に戻るシーンもとても良い。

それにしても、この映画は、ほとんど(前半は特に)、酒を飲んでいるか、タバコを吸っているかのシーンばかりだった。ストーリーも、たいしたことのない映画だが、観るに値する点が2つあり、1つは、音楽。夜のバーで、ジャズが流れて、とても渋いムードが漂う。主題歌の『マンハッタンの哀愁』は、ジャズ・ピアニストのマル・ウォルドロンによるものだそうだ。

そして、必見なのは、今作は、ロバート・デ・ニーロが、初めて出た映画であること。と言っても、クレジットに彼の名前はない。デニーロが、駆け出しだった時に、エキストラで出演した貴重な作品なのだ。まだ映画俳優ではなかったデニーロが、仕事がなく、パリに渡って、小劇団の芝居に出演していた時に、知人から、エキストラの仕事があると聞き、今作に出演した。当時、食費にも困っていたデニーロは、このエキストラでの出演料を食費に当てたそうだ。

しかし、不覚にも、ぱっと見ただけでは、デニーロが、どれだか、分からなかった。ナイトクラブの客として出ていると聞いて、見ていたが、分からない。後で調べたら、似ている気がするけど、これか⁈と思ったのが、そうだった。バーで主人公達が、ステーキを注文する時に、斜め後ろに座って、タバコを片手に話をしているのが、若きデニーロ。なんて貴重な映像だろう。この一瞬を観るためだけに、今作を観るのも、悪くなかった。
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