クドゥー

劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~のクドゥーのレビュー・感想・評価

5.0
『もっともっと好きでいて、続いてくファンファーレ』

全国大会出場を目指す高校吹奏楽部を描くテレビアニメ「響け!ユーフォニアム」の完全新作劇場版は、リズと同時系列にして続編に位置づけられる月まで届きそうなハードルに対して、シリーズの集大成のかたちで応えてくれた青春音楽映画のオールタイムベスト。

「響け」より疾風駆け抜ける余白と余韻と「届け」より本音でぶつかり合う純真と純粋の果てに、黄前久美子という少女は「頑張れば何かがあるって信じてる」象徴となってしまって、上手くなりたいと天まで両手を掲げたその姿はこの地球上の誰よりも強くて美しかった。

輝く瞳に悔し涙のないラストカットはいま頑張っている観客一人ひとりへ向けたエールかもしれなくて、誰もが誰かの「特別」となるゴールにはまだまだ心を砕く必要があるのだけれど、きっと次の曲が始まるそのときには僕のすべてを捧げて臨もうと決意している。



鑑賞記録(2019年8月から)
2019.08.11
塚口サンサン劇場4静寂上映
→本来なら作品と観客の関係で語られる映画において、京都アニクオリティに応えることが至上の目的とされる追悼上映、彼女たちの人格をあずかる矜持とどこまでも誠実であり続けた表現に涙が止まらない。

2019.08.28
EJアニメシアター新宿1
→再生能力を疑ってしまう映像と音響が逆説的に作品のポテンシャルを引き出し、ただ面白いという事実だけがそこにある、神は細部に宿るという真実を体験する。

2019.09.15
キネマ旬報シアター3音感上映
→油断してると置いていかれそうな超絶テンポの誓い、タイトルバック時点でゴールド金賞を約束されたリズ、予想を遥かに超えてくる爆風の如き「Blast!」に眩しさを焼き付けたような映像美も素晴らしい。

2019.11.21
イオンシネマみなとみらい8
→目標に向けたストイックな日々を描いた映画的文脈の最高密度において、会話の空気がセリフのニュアンスを超える、煌く青春の高音が眩しいブラストサウンド。

2019.12.30
チネチッタ川崎LIVEZOUND×RGBレーザー
→あざと可愛い小悪魔の囁きから始まる久石奏劇場は、黄前久美子師匠をガチで師匠にするセリフに宿りし人格に、ラスボス田中あすかの深淵がリフレインする・・・ランダム性を極めたコンクールサウンド。

2020.02.25
Blu-ray 日本語字幕
→リズと同様にパッケージ版を手にして最初に抱くのはいつでも観られるという背徳感、映画館を超える質感の映像美は言葉そのものが可視化されて刺さる、奥行きを詰め込んだ2chの音響美は混じり合った台詞が生っぽく色っぽい。

2020.06.12
イオンシネマシアタス調布ULTIRA
→台詞に人格が宿っている上映は経験してきたけれど、声劇としての細やかな表現と完璧に共存している・・・ラストで鼻を鳴らす黄前師匠は至高過ぎるし来週は予定していないことを考え直してほしい。

2020.06.16
イオンシネマ海老名THX認定シアター
→三部作連続・・・特に届けたいメロディで燃え尽きてからの流れで観ると北宇治は丸くなったという実感が、それでも黄前師匠の言葉を聴きにいくことは僕にとって教会に通うことに等しい。

2020.06.20
‪チネチッタ川崎‬LIVEZOUND×RGBレーザー‬
→世界線を等しくして広がっていく世界観の内なるリズから外なる誓いのコントラストは格別、サウンド先行の場面転換で一気に惹きつけてくる奔放な音、リフレインするあすか先輩はここが一番大好きですから。‬

2020.06.23
イオンシネマ幕張新都心ULTIRA
→あなたに届け燃え尽きることなく最終楽章を見据えた三部作を走り抜けていく、余白のないはずの劇場外から台詞が聞こえてくる臨場感、いつしか音響は溶け込んで求めていた煌めく映像の主役舞台が完成する。‬

2020.07.04
‪‪TOHOシネマズ池袋6PREMIUMTHEATER‬
→輪郭の喪失感は「ようこそ」の方が衝撃的で上野7の再来とまでいかなかったが、日常から非日常への変化を繊細に捉えた上映。全ての音が溶け込んでいく臨場感を初体験の場とするか否か。いずれにせよ京アニの新聖地である。

2021.01.08
塚口サンサン劇場4特別音響上映
→特別な音響とは・・・演奏シーンの迫力が他の追随を許さないことだろうか、それとも他で聴こえない環境音が聴こえることであろうか。僕は台詞だと思っている。感受性を置き去る日々の中で確かな人格に触れる瞬間。

2021.11.02
TOHOシネマズ日比谷10万分の1秒の音響映画祭
→音響が溶け込む絵の芝居があまりにも豊かで、これが十万分の一秒のタイミングというやつか。劇場で40回以上観た作品をシーン毎に分解して、ベスト上映が塗り替えられていくことに恐怖すら感じる。

2023.08.03
Amazon Prime Video スマートフォンサイズ鑑賞
クドゥー

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