僕は隣にいるあの人のことを本当に知っていると言えるだろうか。
ただ知った気になって、あの人の言動を真実だと信じ込んでいるだけなのではないだろうか。
今作はPCに映し出されている画面のみで映画が構成されているところに特徴がある。
ミステリーやサスペンスといったジャンルの映画なので推理して確かめるようとするシーンがたびたび出てくるのだけど、その調査もSNSや検索サイトなどPCで行う。
登場人物についてもPCについているカメラで捉えられた姿が画面上に映し出されているところを見ることになる。
こういう風に言うとちょっと難しそうに聞こえるかもしれないけど、スマホを使っている僕たちにとってはなじみ深いことばかりですんなり物語の中に入っていける。
ネットの登場で人と繋がることが簡単になった分、その繋がりの糸はか細いものであることが多い。
そのか細い糸が大量にあることで、太い糸がどこにあるのか他人にはわからない。
もしかしたら太い糸なんてそもそもないのかもしれない。
そのことさえも大量のか細い糸にさえぎられて他人からは見えない。
今作はネットの良い面も悪い面も同時に見せてくれる。
それは真新しいことではないけれど、今も僕たちが直面しているものだ。
そしてそのような現代批判をする一方で人の繋がりの大事さも映し出している。
ミステリーサスペンスとしてもよくできているし、終始PC画面上の映像で構成するという二度とできなさそうなアイデアでつくられていて、一見の価値は十分にある映画だった。