垂直落下式サミング

Diner ダイナーの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

Diner ダイナー(2019年製作の映画)
2.7
解釈違い上等な平山夢明作品の実写化。
予告で藤原竜也のおふざけオペラをみた時点で「ああ、つまんなそう」と地雷センサーが働いてなんとなく避けてきたのだけど、みてみると想像してたよりはつまんなくなくて拍子抜け。面白くないこともないこともない感じ。まあ、要するにつまんない。
僕があんま好きじゃないわちゃわちゃうるさいやつでキツかった。台詞もうるせえ、映像もうるせえ、あとケバい。それもちゃんとしたケバじゃなくて安いケバさ。開幕早々いきなりケバいのは眼球に悪い。
まず、最初らへんシーンとシーンの繋がりがごちゃってて鈍重。ヴィジュアル過多でストーリーを語る上でのモンタージュがすごい下手。特に玉城が拐われるところとかは、カットが切り替わる時系列すらも正しくない気がする。そんで、なぜか後半は嫌におとなしくなって普通の映画っぽくなる。キショくてつまんないのが、普通につまんないにまで失速していくので、これによってカルトには成り損ねたようだけど、最初から良い印象ではないケバケバが落ち着いたから、僕としては相対的に見やすくなってよかったと思う。
本作に限らないが、喚き系のふざけた芝居が嫌いだ。下品なだけなのでやめた方がいい。これで登場人物に何らかの感情移入をさせたいなら無理があるし、ストーリーを寓話化したいんだったら現場の内輪ノリが過ぎて失敗だし、こういう作風なんだとしたら嫌い。健常の世界とダイナーの異常な世界を対比させて描くのならわかるけど、この映画世界全体がロッキーホラーショーのテンションで動いているようだ。これに付き合うのは疲れる。
映像派ってならもっとこだわってほしいところがたくさんある。本郷奏多が演じている子供殺人鬼のキャラクターをフルCGとかで全身像みせてくれないから、本来の役者の姿形が意識されて気持ち悪い。犬のCGとかいいから、やるならもっとちゃんと誤魔化してほしい。
あと、キスシーン最悪だった。二時間続くケバに付き合った観客にはハッピーエンドが必要だと思うが、ボンベロに救いを与えたいなら、キスか生存か、どっちか一個の甘味でいい。