マクガフィン

アウト&アウトのマクガフィンのレビュー・感想・評価

アウト&アウト(2018年製作の映画)
3.2
ロード・ムービーの逆というか、バディ的な不愛想な主人公と健気で賢明な少女の部屋の中での兼ね合いや会話が微笑ましい。事件を表とすると、裏の少女とのシーンの2面的な切替が効果的に。脇役の演技力と配役に難がある中で、少女の演技力に感心する。原作未読。

和製ノワールをベースに慈愛や意外な人情劇のほのぼのさや、乾いたテイストの中にコミカルな軽妙さを挟む相性が良く、一辺倒にならない世界観が好感。時間制約の切迫感を取り入れることも抜かりなく、周りのポンコツ人間達を上手く扱うことなどの機転を効かせた行動に感心する。

女とほのぼのとした未来が開けそうな矢先の悲哀。また、残された者同士の悲劇の対比が微妙に。女を絡める描写が薄いのが残念で、突っ込み処もチラホラ。

それでも、アクションやバイオレンスを極力抑えても、各々の衝動や悲哀や情念を積み重ねることで、フィルムノワールに昇華することに魅了される。シリーズ化しても良いのでは。少女のカタルシスが解放する、幕引きも心地よい。