Aoi

モンパルナスの灯のAoiのレビュー・感想・評価

モンパルナスの灯(1958年製作の映画)
3.9
印象派の前の時代は、いかに絵が実物に近いか?が絵の評価基準で、判断軸が明確だったけれど、印象派が生まれてきたあたりから、何が良い絵なのかっていう基準が曖昧になる。
モディリアーニが絵を描いたのは、主に1910年代だから、きっと一部の批評家の評価が過大評価されて、きっと今よりも主観的に価値をつけられて、でもだからこそ、自分の絵がすごい評価をされるかも!という期待感を画家たちは持っていたんだろうな。
だから、この時代の絵は、自分と向き合って、生き生きとして、何か心に訴えてくるものがあって、色んな画風の絵が生まれたのかな。モディリアーニしかり、ロートレックしかり、ここまで苦しんででも、画家を辞めずに、自分の絵を信じて、新しい時代の先駆けとなる絵を書き続けていたんだろうなと思うと、エモすぎて涙が出そうになる。

にしても、死んでからの方が、芸術作品の評価は上がるのは、市場原理的には当たり前だし、頭では分かるけれど、生きている時に評価してもらえないなんて、酷すぎる事実。

ところで、Wikipediaを調べたら、妻もモディリアーニの死の2日後、後を追って自宅から飛び降り自殺したらしい。画家って、身を削って、心を削って生きている気がして。画家の人生そのものが、どんな映画や小説よりもドラマチックで、激動的で、ものがたりだな、と思う。

結論、私が、お金持ちになったら、生きている人の絵を買おうと思いました。
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