もりりた

ブラック・クランズマンのもりりたのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
4.0
1970年代アメリカ ロンは初の黒人警察官になった
任されたのは白人至上主義の組織
KKKに潜入しその実態を調査する任務
相棒のフリップと一緒に順調に捜査を進めるが
KKKのメンバー、フェリックスだけが
ロンの素性に疑問を抱き続けていた


扱うテーマは重いが
ロンの明るいキャラで暗くなりすぎない
しっかりエンタメとして成立している

KKK代表デュークをも欺き
潜入捜査を続けるプロセスが面白い
フリップも持ち前の機転でロンを演じ続ける
作り話の様な大胆さだが実話なのが凄い

KKKの思想は目を背けたくなるほど過激
かつそれが現在も継続している事実が衝撃的
鑑賞後はやりきれない気持ちにさせられた


電話交渉はロン、直接対峙するのはフリップ
強みを生かした潜入捜査 緊張感があって面白い

一方メンバー加入からデュークとの接触にも成功
着実だが淡々としている印象もある
派手さが無いのがリアルと言う見方もできるが
もう少し起伏があってもよかった

特にウォルターとフェリックスの衝突以外に
異分子に対するKKK内の心象をより知りたかった
各自がどの様に考え騙されていたのか
ロンたちの巧みさを知る意味でも欲しかった


過去の事かと思いきやラストで語られる事実
問題の根強さを裏付けていて怖くなった
多様な価値観が入り混じる現代 かつ
国のリーダーさえも差別を全否定できない現実

捜査でロンが目の当たりにする迫害の意識
加えてフリップのユダヤ人として背景が
意図せず槍玉になった時の戸惑いの表情が
遠いようで近い差別の存在感を表していた

組織的に意識が同調することで
エスカレートする行動と恐ろしかった
ブラックパンサーの集会で明かされる少年の顛末
一方で黒人差別の映画を歓喜して見るクラン
相容れない価値観が伝わってくるシーンだった


魅力あるキャラクターによる潜入捜査
緊張感を楽しみつつ今なお残る
社会問題について考えさせられる映画でした
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