Kazukidz

LETO -レト-のKazukidzのレビュー・感想・評価

LETO -レト-(2018年製作の映画)
3.9
迸る情熱は誰にも止められない



西側諸国の文化は禁忌とされていた1980年前半のソ連時代のレニングラード。地元で人気のバンドマン マイクの元にロックスターを夢見るヴィクトルが訪れる。抑圧された社会情勢の中、自由に音楽を求める若者たちのひと夏を切り取った物語。


実話ベースの物語として、全編モノクロで構成されており、何より映像が素晴らしくかっこいい。音楽大好きな若者たちの鬱屈とした日々がモノクロ映像と重なり淡々と進む物語がある瞬間、解き放たれたように西側文化の音楽がその若者の心を表した時だけミュージックビデオの様にキラキラと華やかに画面から飛び出してくる映像表現はホント見ていて爽快である。

1980年代の息苦しさの中、新しいムーブメントが始まりそうな若者たちの有り余るエネルギー。そして、今この映画を公開する意味を深く感じてしまうようなロシアの情勢。けど、どんなに上から蓋をされようとも屈指ないパワーを秘めているんだと熱く心に訴えてくる作品に仕上がっている。
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