ぽん

ジュディ 虹の彼方にのぽんのレビュー・感想・評価

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)
3.5
かつての大スターがメンタル病んで薬と酒におぼれて晩年は凋落する、というのは完全なるクリシェ。でも、そういう彼女を見ていて自然に涙がこぼれ、最後の輝きに愛おしさを覚えてしまうのは、そこに人の姿の(ある種の)真実が映し出されているからだと思う。

私は彼女の「弱さ」にどうしようもなくシンパシーを感じてしまった。特殊な、というか異常な環境下で生きてきたジュディ・ガーランドとは、重ね合わせようもない凡庸な人生を歩んでいる自分であっても。意思を砕かれたり、尊厳を踏みにじられたり、プレッシャーと闘ったり、自分に打ち勝てないことに打ちひしがれたり・・・。彼女が辿ってきた道のり、映画では駆け足でサラリと表面を撫でる素描でしかなかった事々も含めて、そこには自分の経験や実感を思い起こさせるものが確実にあった。

レネー・ゼルウィガーのアカデミー主演女優賞は納得。彼女自身が休業したり容姿のことをゴシップ・ネタにされたりと一時期低迷していた印象があったので、本作で素晴らしいパフォーマンスを見せつけてくれたのは嬉しかった。まるでジュディ・ガーランドの「スタア誕生」(1954)のようではないか。(ジュディはオスカー獲れなかったけど)

あと、ロンドン公演でジュディのお世話係をやってた子は、「ワイルド・ローズ」(2018)で見事な歌声を披露してたジェシー・バックリーだ!てっきり彼女も歌ってくれるのかと思った。

それにしても。
エンタメ業界は伏魔殿だと思うけど、時々こういう伝記モノなんかで中身をチラ見せして、こんなの狂ってるよね?ってやるけど、それがまたエンタメになってて我々はそういう物語を娯楽として消費してるんだから、なんだかなと思ったりもする。業かね。
ぽん

ぽん