Iri17

エミリヤのIri17のレビュー・感想・評価

エミリヤ(2017年製作の映画)
3.8
EUフィルムデイズ、リトアニア代表作品。

苦難の連続であるリトアニアの現代史を、1人の舞台女優と監督、KGBの男の視点から描く。
リトアニア含むバルト三国は第二次世界大戦中、ナチスがフランスを占領して大暴れしているどさくさに紛れて、ソ連に侵略された。ソ連崩壊まで自由や文化を奪われ続け、反対者は殺された。この歴史を知ってはいても、実際に映像で見せられると平和ボケした僕のような日本人には身につまされるものがある。

エストニアの『1944 独ソ・エストニア戦線』やアンジェイ・ワイダ監督のポーランド映画『カティンの森』、ヤン・コマソ監督の『リベリオン ワルシャワ大攻防戦』などにもソ連が東欧諸国にいかに酷い事をしたか、描かれている。

この映画は少し冗長にも感じられるが、当時のリトアニアの状況をよく表していると感じたし、舞台でのリトアニアへのナショナリズムを表明するシーンは圧巻。祖国を裏切った人間の結末は、日本ではこうはならないだろうなと思った。

枢軸国である日本や連合軍の主要国の映画と違って、あの戦争で完全に被害者であった国、ポーランド、バルト三国、フィンランドなどの映画は血が流れている。本当に映画全体から自由や平和への思い、祖国への愛が溢れている。占領する側の強国には描けないものがある。この映画もそれがしっかりと伝わってきた。
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