ドント

ホワイトアウトのドントのレビュー・感想・評価

ホワイトアウト(2000年製作の映画)
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 2000年。悪くない。悪くはないんだけれども、まんべんなく物足りない。遭難者の救助の際に親友を失った富樫は、親友の恋人に手渡す遺品がありながらもすれ違いの形で職場のダムへと出勤する。そこに銃器で武装したテロリストが来襲、極寒のダムは要塞と化し、どうにか逃げのびた富樫は単身、テロリストに戦いを挑む。
 原作は真保裕一のベストセラー。未読。ありていに言うならダム版『ダイ・ハード』とも呼ぶべき邦画離れした内容に対して、まずまずそれなりの予算と時間が費やされているようであるし、力も入っている様子なのであるが、どうにも骨が細い。いらねぇドラマとか説明に時間を費やすような愚行はないしチャキチャキ進むのだけれど、どうにも肉が薄い。
 具体的にどこ、という感じではなしに、全体に痩せ気味なのである。ドラマもアクションも陰謀もミステリもサスペンスもスリルも、空回りこそしていないけど「もうちょい……量とか味わいがほしいね……」となってしまう。いろんな場面が『ダイ・ハード』の真似っこに見えて、それがまたわびしい。いやまぁ、退屈はしないんですが……
 役者の好演がまた、その薄味さを目立たせる。織田裕二の織田裕二っぷり、署長役の中村嘉葎雄の人のよさあたりを筆頭にイイ顔の役者勢が揃ってイイ演技を見せてくれる。その演技に、映画の厚みが伴っていない。終盤のバタバタした畳み方にも首を傾げる。もうちょっと食べごたえのあるシーンが欲しいのだ。かと思えば「織田裕二が特に説明もなくやたらと強い」とか、変に思い切った箇所もある。
「こういう面倒なシーンはいらないんよ……」となる時間は(他のペケな映画と比べても)格段に少ないものの、どうにもやはり、まんべんなく物足りない(2回目)。あと雪山の凄さを見せるためなんだろうけど、織田裕二、雪の中を歩く場面多すぎ。一方で服が短時間で乾いてたり「ホワイトアウト」がホワイトアウトしきれてなかったりする。なんだかなぁ。惜しいなぁ。惜しいですね。やっぱり予算の問題なんスかね……
 ただ本作、サブスクで配信がされていない。当時は大ヒットした映画であるし決して手酷い出来ではなく、配信されないってぇのはほんのり勿体ないので、どっか拾って配信してほしいものである。中堅俳優の輝きが楽しめるし……ピチピチの頃の高橋一生も出てるし……
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