ないで

未来を乗り換えた男のないでのレビュー・感想・評価

未来を乗り換えた男(2018年製作の映画)
4.2
ナチズムが台頭するドイツから逃れてパリに潜伏していたゲオルグは、仲間から託された手紙をある作家に届けようとするが、作家は既に自殺していた。遺品を受け取り、負傷者に付き添ってマルセイユへ向かった彼は、何度も謎の女とすれ違うことになる。

1940年代の話かと思いきや、警察の装備や街角の落書きは現代のもの。ゲオルグは作家が残した「逃亡者」という遺稿をなぞるようにマルセイユをさまよう。祖国を追われて行き場をなくした人々がトランジットを待ち続ける『カサブランカ』を思わせるような地で、作家本人と間違えられたゲオルグは作家とその妻二人分の脱出チケットを手にする。

『水を抱く女』のパウラ・ベーアとフランツ・ロゴフスキのペアが妙に気に入ってしまってこちらも鑑賞。特にフランツ・ロゴフスキは失礼ながら第一印象はあまりピンと来なかったのですが、すごーくいい役者さんだなぁと唸りました。カサブランカみたいにヒロイズムを答えにすることももう出来ない、みんながみんな孤独な異邦人のような世界においても、どこか血の通った人間味が滲み出る佇まいには救いのようなものさえ感じました。振り付けもこなすダンサー出身と知って感服。
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